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『レオン様、惑わされないでください』
レオンの心に届いた声は、もう一度そう発した。
薄紅色の光がレオンを包む。
「レオン様!! 聞いてはなりません! 私を見て、レオン様!!」
エミリアが叫ぶ。が、レオンは瞳を閉じて光に体を預けていた。
惑わす?
……惑わす? 何処かで……
『レオン殿、惑わされずにな?』
ああ、豊王が言っていたな。
俺は……惑わされているのか?
『レオン様の愛するものは、レオン様が知っているものです。レオン様が知っているものは、ここに居ますか?』
薔薇の声がレオンに問うのだ。
『ここに愛するものは、居ますか?』
と。
「レオン様!! 皆が幸せになるのは、私を連れて帰ることよ! レオン様! あなたの愛するものは、私でしょ!!」
レオンの耳に聴こえる金切り声。
エミリアが歪んだ形相でレオンに向かって叫んでいた。
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