20章:愛するもの

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「俺の愛するエミリアなら、今ここで俺を苦しませたりしないはずなんだ。苦しみを全て背負い海に身を投げたのだから。涼の国を想い、俺を想うエミリアは、ここには居ない。君は誰?」  エミリアは歪む。  姿形が歪んでいく。 「もし、俺の愛するエミリアが現れたとしても、エミリアなら、……俺に『さようなら』を言うだろうな」  レオンの言葉が終わる前に、エミリアの姿形をしたものは消えてなくなった。  ーーサラサラーー  風がエミリアであった影をさらっていった。  レオンはアイラを抱き上げる。 「愛するものの目覚めを願います!!」  一点の曇りのない願いが、泉に放たれた。 .
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