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意識しなくなれば、時間なんてあっという間に過ぎる。 毅一の事はずっと忘れられないものだと思っていた。 しかし今は、もっと頭から離れない人がいる。 「ねぇ・・・、夏香。」 まだ少し迷いはあるけど打ち明けてみようか。 もしかしたら、真面目な彼女には理解されないかもしれないけど・・・。 恐る恐る口を開き、自分の現状を話し始める。 「私きっと、好きな人ができたんだと思う。」 “好きな人”・・・。 この表現は果たして正しいのだろうか。 「好きだ」というニュアンスの言葉は互いに発していない。 だけど出会ってからほぼ毎日連絡を取り合い、会えばキスをし体を重ねている。 それでも慧は私から離れていく素振りは見せず、出会った頃と同じように自分の日常を携帯電話を介して伝え続けてくれていた。
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