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これは俺がまだ人間だった頃の話だ。
アイツ……ユーリア・ロレルダとの出会いはお互いが5歳の時だった。
街で偶々ソイツと出会って、遊んで帰って……特別な事は何もなかった。
それからちょくちょく俺とユーリアは遊ぶようになり、小学校を卒業する時には幼なじみとも呼べる関係になった。
そして、中学に入ってから俺とアイツとの間に明確な“差”が出来始めた。
もちろん男と女の性差ではない。
才能の差だ。
それは初めて魔法を習った日の事だった。
「ユーリア、もう魔法が使えるのか……」
「えへへ、凄いでしょ?魔法教えて欲しかったら、愛しのユーリア様教えてくださいって言ってね」
「言うか!」
ここから全てが捻れて行った。
ユーリアは半年も経たずに中級魔法をマスターし、一年を終える頃には最上級魔法と呼ばれる戦略級の魔法を扱えるようになっていた。
しかも、ユーリアの才能は魔法だけに止まらず、剣を持たせれば剣聖と呼ばれ、学問をやらせれば賢者と呼ばれ、ありとあらゆる人に愛された。
だが、そんな非凡な才を持つユーリアの幼なじみの俺は平凡。
魔法に関しては魔力の量の関係で平凡以下、それを補うための体術やら剣術は人並み以上だったが、ユーリアの才能の前では児戯同然だった。
そして、誰もが当然の疑問を抱くようになる。
何故、コイツが天才の側にいる?
皆疑問に対して答えを出せず、その疑問は嫉妬となり、やがて怒りとなって俺に降りかかってきた。
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