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「困るのだ。お前が死んでしまうと我は顕現が出来なくなってしまう。ざっと一万年くらいは生きてもらうぞ」
「……好きにしろ!!」
もう、強い力を持つ者にはうんざりだ。
こちらの都合などお構いなしに身勝手を押し付けて来やがる。
「さて、では我が眷族よ。お前に新たな名を贈ろう」
正真正銘の本物の神は人をではなく、己の眷族となった者に名を授ける。
「ポチだ」
「ふざけんなクソ神!」
ネーミングセンスを疑う名前を付けようとしやがった。
「我が儘な眷族だな。では、どのような名が良いのだ?」
「ゼクア!」
こうなったら生前の名で生きてやる!
「つまらん……全然面白くないぞ」
その面白い名を付けられて生涯泣いて過ごす事になるのが分からないのだろうか?
ああ、神に人の感覚を求めるというのが無粋か。
「まぁよい。では、行くぞ!ゼクア!」
「行くって何処に?」
「人の飯を食えるところだ!」
「食事にも対価が必要だというのか!」
「郷に入れば郷に従え、とりあえず人間の常識の中で生きてくれ」
「……チッ」
人里に降りた俺達は働き口を確保する為に、冒険者ギルドへと向かう。
現在の俺の容姿は身体の所々にある龍鱗を隠すために包帯を巻いているため、物凄く不気味な姿になっている。
医者に呪いでこうなったんですって言ったら、同情したのか無料で包帯を貰えた。
あと、呪い呼ばわりにカチンときたのかイフリスに脛を蹴られたがな。
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