Smile

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「タケル」 「あっ……アキラさん! お疲れ様です!」  この声を高校生の時、テレビの前で聞いていた。  お笑い第三次ブームを支えたシタラ☆アキラと言えば、この世界で知らない者はいない。 「盛り上がってんなー、よかったよかった!」  がはは、とアキラさんは豪快に笑う。無精髭を蓄えた顔は精悍で凛々しく、俳優としても活躍している。先日40歳を迎えた、まさに脂に乗っている芸人の中の芸人なのだ。 「もうすぐ出番だな」  穏やかに目を細められ、こくりと俺は頷く。  正直、俺は面白くない。レギュラー番組もない。ライブに出てもスベってばかり。それでもこの世界の末端にしがみ付いて来たのは……! 「俺……アキラさんに出会えて本当に良かったっす!」  尊敬して止まない人がいたからだ。
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