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出番を終え、下がる。やりきった満足感に浸っていると、待ちわびた声が届いた。
「お兄ちゃん!」
「ヒカル、来てくれたのか……って、ええっ!」
妹の腕の中には小さな男の子。お菓子を手にしながら、じっと俺を見ている。
「お前、いつの間に……」
「違うの! あ、でも何て説明すればいいんだろう……」
俺よりも頭のいい、良く出来た妹は暫し逡巡する。
「大好きだった人に託されたの。自分の代わりに一緒にいてやってくれって。それを私も望んだの」
「そうか……そうか……」
「お兄ちゃん……泣かないでよぉ……」
そう俺に言いながら、妹も泣いていた。
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