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天気の良いある日、珍しく調子の良さそうな総司が言った。
「桜が見たい…」
「そうか。寺に見に行くか?」
「…今日はものすごく調子が良いから、がんばって歩くよ」
「無理はするな。おぶって行ってやる」
自分で歩くと駄々をこねる総司をおぶり、寺へ行く。
満開を少し過ぎた桜がとても綺麗だ。
木の下へ腰を下ろし膝の上に総司を座らせてやると、俺に抱きつき言った。
「…綺麗だね…
今までありがとう。ハジメ君。
君は生きて…!」
「何を言うのだ。総司
別れの言葉みたいではないか」
「…お別れなんだよ…
ごめんね。ハジメ君
僕は充分生きた。
ハジメ君のお陰で幸せな人生だった…」
「…総司…愛している…っ!
俺を置いて行くな…!」
「ハジメ君…僕も愛しています…永遠に……
だから…置いていくね…」
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