第1話

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この知らせを聞いた民は、待ち焦がれた揺るぎなき英雄の誕生に歓喜した。  一時は朝廷から離れつつあった民心も、英雄の誕生によって再び朝廷を敬った。  大和王は朝廷存亡の危機を救った頼光に深く感謝した。  以来、頼光を輩出した源氏の氏長者が摂政、そして藤原家の氏長者が関白として執政権を持ち、王家を守護することで、大和国は成り立っている。  源頼光が没して約一千年の時が経過した現代。  度重なる諸外国の武力侵攻を召喚獣の力で跳ね除け、いまだ大和国は平和を保ち、先進国として世界各国をリードしていく形となっている。  それもこれも、大和国民のみが召喚可能な召喚獣の力によるところが大きい。  他国が民主主義を掲げ、王侯貴族による封権政治が廃れていくなか、大和国は依然として旧体制と言われる封権政治を続けている。  ――他国とは違い、支配階級の貴族を華族という名称と言い換えはしているが。  大和国の民意は近年流行している民主主義ではなく華族による統治を望んでいる。  それは源家が他の華族を蔑ろにせず、深く話し合い、善政を続けていることや、平将門が起こした半世紀にわたる争乱を終焉させ、召喚術という先進的な能力を見つけ他国からの領土侵略を許さなかった源家を、多くの民が敬っているためだ。  諸外国の最先端科学兵器をも圧倒するほどの召喚士を養ってこれたのは、古来より続く国立召喚士学園による影響が大きい。  召喚士学園は古くから共学制度を採用しており、三年制の学園である。  男性は召喚士として女性を守るために召喚術を、女性は淑女としての嗜みをつけるために召喚士学園へ通う。  召喚術を学ぶことのできる学校は、世界中でこの学園のみだ。  女性の入学条件は、華族階級であること。  男性の入学条件は、死を厭わず戦う覚悟を持っていること。ただ、それだけだ。  なぜこれほどまでに入学条件が異なるのか。それは召喚士には男性しかなれないということが関係している。
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