たった3ヶ月

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外に出るだけで肌が痛くなるような寒波が続いていた冬。 3ヶ月前のある日、目覚めてみれば春の陽気?いやもっと暑かったように思う。 前日の天気予報じゃ氷点下3度とか言ってたけど20度はあったかな。 ニュースを付けてみたら、世界中で異常気象だとか言ってたっけな? エリート揃いの国の気象庁とやらでもこの現象は初めてだとか謎だとか。 そのときは別に異常気象なんて普通の事だと思ってた。 このご時世ちょっと温度が高くなっても一般人にそんなことはどうでもね。 世間で話題になったけど3日くらいで温度は下がった。 種が無くなれば人は次の種を探す。今回もそうだった。 すぐに異常気象の事は忘れ去られた。 その後2か月くらいは何にも起こらなかった。静かすぎるくらいにね。 問題はその2か月後の事。 日曜日だったからごろごろ家でゆっくりしてた時だった。 突然地面からバリバリって音がして一気に揺れた。 揺れたと言っても本棚が倒れたくらい?まぁそれでもすごいけど。 とっさにテレビを付けた。 生放送のニュース番組をやってたけどパニックになってたね。 普通なら2分くらいで震度が出る。だが今回は10分しても出なかった。 15分後にやっと出た震度情報。それを見て絶句した。 日本全国 それどころか世界中で震度5弱を観測した。 全国共通で震度5弱 まるで地球の土地全部を一気に動かしたみたいに。 鳥肌が立って気持ち悪くなった。  と同時に心が沸き立った。 退屈だった日常に突如として現れた異変。 気づかないうちに笑いが漏れていた。 外では社畜たちが焦り急ぎ困惑し絶望している。 地球の終りだ、そう叫び回る人は少なくなかったし当然だとも思った。 でも僕は違う。 この絶望的な状況を楽しむ。 こんな異変が起こってこれだけで終わるはずがない。 そんな希望とも期待とも言えない喜びを現実は砕いた。 前回の異変と同じように、またピタリと異常現象は止まった。 国のお偉いさんが調べても原因は分からなかった。前と同じように。 民衆が安堵する中僕は絶望した。 また普通の何の変哲もない生活に戻るのか。あの繰り返しの日々に。
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