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民衆の願う平穏 僕の願う革命 どっちが叶うか。一か月で答えは来た。
これまた休日。今度は寝ている時だった。
突如として体が浮き上がるような感覚が襲ってきた。
いや浮いていたのかもしれない。
一分以上体の自由が利かなかった。前後左右上下に吹っ飛ばされる。
家具なんてものは脆く倒れていった。
一分してようやく揺れは収まった。
テレビを付けても今は3時 どこも放送をやってない。
僕はすぐに外に出た。夜だったことが幸いして火事は起きていない。
ここから先の展開は凄く早かった。
遠くの方に光が見えた。 紅く、高く、煮えたぎる、獄炎が。
10キロ先ぐらいだろうか。 それでもはっきり見えた。
あれは、溶岩。 どんどん噴出してくる様はまるで噴水のようだった。
人が逃げ、波のような光景が広がる。
数分経つと彼方此方から爆音が聞こえてきた。
沈黙の夜を引っ掻くように、ドンと、ドンと。
あれほど革命とかいうものを望んでいた俺でもその光景は、重かった。
とことん地球を汚してきた人間はどこまでだって強かった。
こんな時だけ弱くなる。とことん無力になる。
人がどんどん赤い海に飲まれていく。そして沈んでいく
まるでフライパンに乗せたバターの様に。
海がどんどん近づいてくる。恐怖なんてものは通り越してた。
発狂すら黙り込む、最大の絶望が。すぐそこに近づいてくる。
今迄神なんて信じてなかった。信じざるを得なかった。
頼らざるを得なかった。八百万のどれかなら助けてくれる。
でも神にとって人間なんてものはどうでもよかった。
無情にも溶岩は止まらない。
家が呑み込まれても、人が呑み込まれても。
走馬灯なんて物すら自分には用意されなかった。
自分の少ない頭に浮かんだ未練 それすら溶岩は待ってくれなかった。
足が焼ける記憶すら残ってない。感覚すら持ってかれた。
僕が語れるのはここまで。
今死にたいとか考えてるやつ、世間に絶望しているやつ。
あと3か月 いや残りの人生 有意義に過ごしてみてくれよ。
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