〜Prologue〜

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 誕生直後、私の中にはっきりと存在したモノ。それは憎しみ。  そう。生あるもの全てに対する、望むままに産まれ、そして生きて死ぬ。時には自ら望んで滅びることもできる、有限の時間を生きる者への憎悪であったのか。  明確なら答えを私はまだ得ていない。或いは、それを嫉妬と呼ぶのか。  私は作られた存在。有限の命をもつ者達が手にした叡智で生み出された、無限の命をもつ者。或いは魂なき不死者。  私の創造主達は、自ら望みながら遂に得ることの無かった不死の力を恐れ、私に戦いを挑んできた。自らが持つ、全知全能とも呼べるその力で、私を幾度となく殺そうと試みた。  彼らは幾度となく私の肉体を灰塵に帰した。抵抗する私の力など、彼らの前には取るに足らぬもの。幾度となく攻撃を受けるたび、私は四散するものすぐ、再生を果たした。  そして私は破壊と殺戮を続ける。無感動に或いは作業の様に、生き物の命を奪い続けた。  創造主達は再び、私に対して彼らが持つには巨大過ぎる力を、躊躇いなく私に対して行使した。  私と共に崩れていく巨大な街。そして塵と化し死んでゆく人々。
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