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辺りは慌ただしく、騒然としている。
金の鎧を着ている男は恐らく指揮官なのだろうか。一人、色が違う鎧を纏って何百もの軍兵に命を下していた。
およそ推定数百人の兵士達が整列を一糸乱すことなく腰には刀を着け、盾を持ち、指揮官の命令を待っている。
『 行け 』
例え自分が死ぬ事になろうとも。
たった二文字のその言葉を兵士は待ち侘びている。勿論、今にも剣を抜く準備も覚悟も。
もう自分達は死ぬ覚悟でその言葉を心待ちにして、この剛壁の扉から出て立ち向かうと決めたのだ。
やっと国のために戦えるという事は、自分達兵士にとって何よりの誇りだと、そう信じて。
世界にもう一度平和を齎(もたら)せるなら自分の命が犠牲になることくらい簡単なことだと。
そう信じているからこそ、兵士達の瞳は皆死ぬ間際まで誇りと信念で輝いていた。
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