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「こちらがガイシャです。」
とある病院に、一人の男が搬送された。男は先程、新郎となるはずだった人物だ。
しかし、結婚式に女性…Finger Eater -指喰い- が現れ、教会も式もボロボロになってしまった。
幸か不幸か、負傷者は戦っていた新婦と指喰いを除けば新郎ただ一人だけ。
飛鳥の上司の白峰は、事件の全貌を把握するため男のもとに足を運んでいた。
「初めまして。私、暁警察署の白峰と申します。お辛いとは思いますが、事件の事をお話願えますか?」
白峰の第一印象はくたびれたおっさん。無精髭が目立ち、髪にはところどころ白髪が見え隠れしている。大体30代だろう。
対する男は20代後半ぐらいで、白峰が現れたときからどこかビクビクしている。
「お…お前は……、だだだだだだ誰なんだ!!どうしてここにいる?そもそも…ここはどこ…なんだ!!何があったんだ!?」
明らかに、警察官に対する態度じゃなかった。高圧的、上から目線と言うわけでもないし、明らかに怯えていた。
白峰の後ろにいた警官はぼそりと「警部の顔が怖いんですよ…」と笑いを堪えながら小さく呟いた。が、それは運悪く白峰に聞かれてしまったようだ。
「おいこら、後で覚えとけよ?苅部ナ……」
「ちょっ、警部!!謝ります、謝りますから名前だけは人前で呼ばないでぇ!!」
「ちょっと、あんたら。ここは病院なんすよ?もうちょっと静かにしてくださいよ。」
白峰と苅部と呼ばれた男の会話を打ち止めたのは、頭に包帯を巻く飛鳥だった。
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