Eater

Finger Eater

リンゴーン、リンゴーンと、どこからか鐘の音が響いてくる。

嗚呼、どこかで結婚式を挙げているのか。

このご時世に無駄な事を。

今、この世界には生態系の頂点に人間はいない。

代わりに居座るのは、数年前に突然現れた新人類。

Eater-喰らう者-。

彼らは、人間の一部を食し、そして壊す。

ただ、それだけの為に生きる者。

しかもこの街には愛を喰らうLove Eaterたるものが現れたと言う。

それらが蔓延るこの世界での夫婦関係は辛く、少なくともこの街で結婚などを考える者は少なくなってしまったのだ。

結婚など、無意味に等しい。

ぼーっと立ち尽くしていた青年はニヤリと嘲笑するように口角を上げた。

空を仰ぐと、きれいな青空が一面に広がっていた。普通の人は気分が良くなるだろう。それにも関わらず、青年はニヤリとした顔から、怪訝な顔に変わった。

何かを感じ取ったのか、青年は鐘の音が聞こえた教会の方を向く。すると、結婚式には相応しくない爆発音が聞こえた。