プロローグ

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「おにぃちゃぁぁぁぁぁん! おはよっ!」 そう言って部屋の部屋の扉をあけたのは紛れなもない妹だった。 「あ、そっか。 今日は美羽との対面式だったな。」 部屋に勢い良く入って来た美羽ではあったが、その場で起き上がっている俺を見て、あからさまにつまらなそうな表情を作った。 恐らく布団に包まっている俺を叩き起こすつもりだったのだろう。 「なぁーんだ! 起きてたんだ!ミドルキックで起こすつもりだったのに……」 やはり想像は当たっていたようだ。 「新学期早々嫌な目覚めになるだろ……それ……」 「あれ? お兄ちゃん、泣いてた?」 しまったと感じ、まぶたに触れると、涙が流れた跡がそこにはできていた。 「あー…… なんでもないよ。 そんな事よりも早く準備しなきゃだな。」 そう言って無理やりに話をはぐらかした俺は、クローゼットから取り出した制服に着替えはじめた。
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