Last

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 すると、どこからか泣き声が聞こえたような気がして、俺は視線を再び地に落とす。 「お前も辛いよな」 【タスケテ……タスケテ……】 「今度は別の方向?」  黒衣を翻し、ひらりと暗雲立ち込める空へと飛び立った俺は、真っ直ぐにそびえる人間界では電柱と呼ばれるものの頂点に降りる。  死体。死体。死体。  以前からあるもの。ほんの数秒前に現れたもの。今、まさに死体になろうとしているもの。  微かに闇を振るわす音に、等間隔に並ぶ石の柱の上を蹴っては飛び移る。  ひしめく住宅街の中、一際立派な屋敷の入口に女が立っていた。と思ったのも束の間、女は玄関扉を開け放つと、勢いよく屋敷の中へと入っていく。  瞬時に俺は気配を飛ばす。舞い降りた先には自分の亡骸を呆然と見下ろす男と、泣きわめく子供がいた。
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