第3話

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   今何か追求されるのはごめんだったから、そのまま携帯の電源は切った。  真田の部屋は、会社を挟んであたしとは反対方向だった。  そんなことさえ知らなかったのに、いいんだろうか。  ぐちゃぐちゃ考え出したことに気付いたとも思えないけど、携帯をバッグにしまったタイミングで、真田の手があたしの手を掴んだ。 「真田?」 「手袋くらいしろよ。見てる方が、寒い」 「……」  ええと。  どういう意味なんだろう。  これまで彼氏すらろくにいなかったあたしに、男性の言葉や態度の意味を察しろって方が無理なわけで……。 .
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