第3話

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   真田の指は、男の人にしてはしなやかに長くて、綺麗だと思う。  いつもあちこち動き回っていて、デスクワークをほとんどしないから、PCのキーボードを叩いているところなんて、あまり見られないけど。  その指が煙草を挟んでいる光景がすごく意味ありげで、もちろんそんなことを考えているのはきっとあたしだけなんだろうけど、休憩中に目を奪われることは少なくなかった。  煙草みたいに、ああして無造作に摘ままれたいとか。  そういうことをしょっちゅう考えていたくせに、あたしには自覚だけが足りなかった。どこまでも、どこまでも。 ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  無自覚の中でもしっかり求めていた真田のその指が、あたしのうなじに回っている。  頭ごと抱えられるようなキスは、まるで咬みついてくるようだった。 .
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