第3話

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  「んっ、う……」 「……上杉」 「ん、ん……?」  呼ばれて、ゆっくりと目を開けた。  キスのときは目を閉じるものじゃないか、と思ってたけど。  目を開けたときに真田の真っ黒な瞳があるのは、ちょっと恥ずかしいけど幸せかも知れない、なんて思う。 「止めないの」 「なんっ、で……」  訊きながら真田はまたあたしの口唇を塞ぐし、身体を壁に強く押し付けてくる。  こんなに強く抱きすくめなくたって、別にどこへも逃げやしないのに。  覚悟なら、あたしなりにもうできてる。  勝手に乱れる呼吸。  自分の身体なのにままならないこともあるのだと思い知るのは、何度目だろうか。  それもこれも、全部真田のせいだ。 .
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