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「んっ、う……」
「……上杉」
「ん、ん……?」
呼ばれて、ゆっくりと目を開けた。
キスのときは目を閉じるものじゃないか、と思ってたけど。
目を開けたときに真田の真っ黒な瞳があるのは、ちょっと恥ずかしいけど幸せかも知れない、なんて思う。
「止めないの」
「なんっ、で……」
訊きながら真田はまたあたしの口唇を塞ぐし、身体を壁に強く押し付けてくる。
こんなに強く抱きすくめなくたって、別にどこへも逃げやしないのに。
覚悟なら、あたしなりにもうできてる。
勝手に乱れる呼吸。
自分の身体なのにままならないこともあるのだと思い知るのは、何度目だろうか。
それもこれも、全部真田のせいだ。
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