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着信履歴 9 (ダグマイアの進む道)
つよいよ・・・おまえは・・・
剣士の白い聖機人に一方的敗北を喫し、天地剣で真っ二つに切り裂かれた青い聖機人の操縦席でダグマイアは一人つぶやいた。
自分は優れている、誰にも負けるはずがないと剣士に出会うまでは信じて疑わなかった。
しかし、徒党を組んだ仲間たちが目の前で次々に抗う間もなく倒され自身も無残に敗れ恐怖に引きこもりながらも再度全力での決闘に挑んだ結果であった。
ダグマイア『時間稼ぎ位しかできないなら、もう終わりにしよう。』
ダグマイアは操縦席から降り叔父のユライト・ネストがいるであろう聖地へ向かい歩き始めた。
今頃聖地では聖機神が復活し父のババルン・ネストとドールが剣士と戦っているころだった。
父に認められるため出来ることは全てやったつもりだ。最後は叔父の進言通り、自分自身の戦いができたはずだと思う。
あとは結果を待つだけであった。
ダグマイア『だが・・あいつなら聖機神にも勝つかもしれない・・・・』
ズスーン!!ドッカーン!!!
その時彼方で大きな衝撃と爆発音がした。
ダグマイア『あ・・あれはあの結界炉の爆発音!?』
その音は紛れもなく彼自身が剣士との決闘に持ち込むために利用した亜法結界炉の爆発波動だった。
誰が何のために爆発させたのだろう、起動するには彼が切断したチャージラインを修復するか直接エナを送りオーバーチャージするしかないはずだった。
ダグマイア『剣士たちが・・なら聖機神にはきかないはずだ。苦戦しているんだ。』
さすがの柾木剣士でも聖機神の力の前では善戦しても勝つのはやはり難しいのだろう。
ダグマイア『父上はまだ無事と言うことだな。急ごう!』
急ぎながら父、ババルンに報告して自分の努力を認めてもらわなければ見捨てられるとダグマイアは考えていた。
ダグマイア(まだだ!まだ希望はある!)
愚かにも視野狭窄な彼はまだ諦めてはいなかった。
そして聖地に向かって走り始めた彼は、頭上を一機のエアバイクが通過したことにも気づかなかった。
タッタッタッタッ・・・
はぁ、はぁ、はぁ・・・
しかしいくらも進まないうちに脇腹が痛みだし、息があがる。
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