それぞれの道

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着信履歴 11 (柾木家の一室にて) ここは岡山県のとある田舎の一軒家。 湖の畔、別荘風な片落しの屋根に広いウッドデッキが特徴的な佇まいである。 表札には『柾木』の二文字。 玄関を入った先の階段下に変わった丸窓のドア・・・中では二人の女性がモニターを見ながら話をしていた。 鷲羽『さて・・・これで貴女の使命は終わったわけだけど、どうする?』 レイア『私の使命はあの子を送り出すまでですわ。』 鷲羽『送り出す?ねえ・・人柱のまちがいじゃない?』 レイア『あら、皆さんもずいぶん楽しんでいらしたようですが・・・。』 鷲羽『ふむ・・じゃあもう少し楽しませてもらうとしましょうか・・・。』 ひとりは白眉鷲羽。言わずと知れた宇宙一の天才科学者である。が、彼女の真実を知る者たちはマッドサイエンティストと呼ぶ。 もう一人は柾木レイア。この家の主、柾木天地の父の後妻である。 鷲羽『でもレイア、貴女もジェミナーに戻れば剣士や姉妹たちと暮らせるんじゃないの?』 レイア『うん・・でも天地やあの人を置いては・・それにもう剣士はあちらに無くてはならない存在になったようですし、軟な育て方はしていないですから。』 鷲羽『へー・・でも前に魎呼が聞いたらしいけど、レイアがいないと今の自分がいなかった。なんて成人みたいな言いぐさしてたらしいよ?』 レイア『まぁ!・・・・(照)。』 鷲羽『それと剣士の記録装置に使った魎皇鬼のカケラ大事にしてるの見て剣士~(涙)何て健気なやっちゃお前は~(泣)とも言ってたなぁ。』 レイア『魎呼さんらしいですね・・・・剣士・・・。』 レイアが異世界から現世へ送られた時からこうなることは定めだった。 ネイザイと二人でガイアの楯を壊せないと解った時、この方法しかジェミナーの希望はなかったのだ。 レイア(わかってくれるはずよ・・いつも見守っているからね・・剣士。) レイアはモニターに映る画像に目を向けながら心で呟いていた。
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