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着信履歴 12 (鬼の巣へ)
あの日は、剣士くんが行方不明になって三か月になろうとしていた。
依然として何の手がかりもなく捜索すらされてない事に不信を抱いたオレは、柾木家は何かを隠していると思い確認してみることにした。
愛車の軽トラックに畑で採れた野菜を積み込み、極めて友好的に話すつもりで湖の畔にある柾木家を訪ねた。
ピンポーン♪
『はぁ~ぃ!』
呼び鈴を押すと奥から女性の返事が聞こえた。
『はぃはぃはぃ!どちらさまですか?』
☆こんにちは、剣士くんの知り合いで順三といいます。
玄関の引き戸越しに尋ねられそう返事をした。
ガララララ・・・
『剣士ちゃんのお友達?』
引き戸が開き中には長い緑色の髪を二つに分けて結った雀斑の可愛い少女が立っていた。
☆あ・・はぃ友達と言うには少し歳がちがいすぎるんですが・・・あなたは?
砂沙美『砂沙美だょっ!』
☆あのー剣士くんの行方不明の事でちょっと伺いたいことが・・何なら私が捜索願を出しても・・・・
女の子には失礼だったがやや強めの口調で話した。
砂沙美『え~!?なんで剣士ちゃんが行方不明って・・!?ち・・ちょっとまっててね!おにいちゃん!!』
☆お・・おにいちゃん!?
正直、どちらかと言えばオジサンの部類なんですが・・・(汗)
しばらくして再び女の子が戻ってくる。
砂沙美『おにいちゃん、剣士ちゃんのお母様がお会いになりたいって。上がってください。』
☆解りました。お邪魔します。あ、これ手土産です。
砂沙美『うわぁ!新鮮なお野菜、いいんですか?ありがとうございますぅ。じゃ奥へどうぞ。』
手土産を渡し奥の部屋へ案内された。
そこはリビングでフローリングに一部畳の間があり、ソファーに二人の女性がかけていた。
レイア『初めまして、剣士の母でレイアといいます。こちらは科学者の白眉鷲羽様。』
☆あ・・初めまして・・八塔寺順三といいます。
鷲羽『白眉鷲羽です順三殿。』
☆よろしく、白眉鷲羽先生。
鷲羽『順三殿、わたしの事は・・鷲羽ちゃんて呼んでね!』
☆どわっ!!
思わぬ展開に芸人よろしくズッコケてしまった。
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