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着信履歴 13 (強制自己暗示)
異世界へ旅立つ前に色々と片づけたい事があったのでいったん自宅に戻った。
時間はいつの間にか深夜、付近には隣家のない一軒家、納谷と平屋の小さな農家の我が家である。
一人暮らしのため農機具以外は大した家財道具もない。
唯一、以前から続けていた創作活動・・所謂、私的な小説の執筆に使っているノートパソコンや資料データのメモリがあるくらいであった。
パソコンのワードを開き自治会長あてに手紙を打つ。身内の世話になることにしたとの文面で借りていた家や農地を返却するという内容で。
大体の物はそのままだったのでパソコンとメモリだけ鞄に詰め家を出た。
玄関の前に立ち
☆(ありがとう・・・)
一人心で呟く。
軽トラックに乗り再び柾木家に向かった。
道中自治会長あての手紙を投函し、程なく到着した。
夜も遅いので玄関を入り階段の下のドアから、直接鷲羽ちゃんの部屋へ入るように言われていた。
ガチャ・・・
中は驚くほど広くこの家より大きい・・。
☆どうなってるんだ・・・ここは?
鷲羽『順三殿!』
☆あ・・わしゅ・・う・・・
目の前に左右に揺れる五円玉・・・
重なるように・・蟹のような・・・髪・・・・
何か囁くような声が頭に響く・・・・・・・・・・・・。
そして俺は異世界に旅立った。
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