第1話

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私は言ってしまった。 好きな人なんていないのに。 「え、そうなの?知らなかった」 すると廉が私のところに来た。 「あのさ、大翔が合宿で美華と二人きりになりたいんだって。だから、夜・・・」 廉がなかなか続きを言わない。 「廉?」 「夜・・・。大翔が花恋と美華の部屋に行くから、花恋はその間俺の部屋にいてくれ。」 「・・・。」 私は頭の中が真っ白になっていた。 つまり、一晩廉と二人きりってこと? 小さい頃からよく一緒に寝てたのに、なぜか動揺してしまった。 「嫌か?」 「ううん、嫌じゃないよ!わかった、大翔くんが来たら行くね。」 「おう、わりいな。」 廉も緊張してるのかな? 2014年5月14日水曜日 今日から2泊3日で合宿だ。 「おはよ」 隣の家に住んでいる廉は、毎朝私の家で朝ごはんを食べている。 幼稚園のころからずっと。 「花恋、はやくしろ!行くぞ!」 廉はいつも用意がはやい。 だから毎朝怒られる。 「待ってよ、廉」 合宿の集合場所にはもうみんな揃っていた。 バスで1時間半後、山奥の旅館に着いた。 私たちは真っ先に部屋に行き、荷物を置いた。 これからしばらくは自由時間だ。 コンコン 誰かがノックした。 ドアを開けるとそこには廉と大翔くんが。 二人は勢いよく入ってきた。 異性の部屋に行ってはいけないからだ。 「あぶねー。もうすぐで担任に見つかるとこだったよ。」 大翔くんが言った。 「美華、近くに景色がきれいなとこがあるんだ。見に行かね?」 「いくいく!」 美華と大翔くんは部屋を出て行った。 大翔くんが部屋をでるとき大翔くんは廉に「頑張れよ」と言った。 その時、私はなんのことだかわからなかった。 気にもしてなかった。 沈黙が続いた。 こんなの慣れてるはずなのに。 どうしてだろう。 胸の奥がざわざわする。 すると、廉と目があった。 その瞬間、廉の顔が目の前にきた。 息ができない。 私の口は廉の口に覆われていた。 「んっ。」 しゃべれない。 その時私ははじめて廉のことを男としてみた。 今までは大好きは幼馴染だったから。 廉の口が離れた。 「ごめん。」 そう言うと廉は部屋から出て行った。 私は状況を把握しきれなかった。 ファーストキスだった。 しかも相手は廉。 しばらくして美華と大翔くんが帰ってきた。
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