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「拗ねてる?」
私に近づき、私の頬を指ですーっと撫でた。
「やめてください。」
顔を背けると、荻野 遥貴は私の顎を親指と人差し指で持って、無理矢理、私の顔を自分に向けさせる。
「泣いたクセに。」
「・・・。」
「俺が帰ってから、また泣いただろ?」
「泣いてません。」
「こんなに、目が腫れてなかった・・だろ?」
そう言って、私の眼鏡の奥の瞼を覗き見る。
本当に嫌いだ、このヒト。
わかってるクセに、なんで構うのか。
「・・もう、私に構わないで!」
私がキッと睨むと、荻野 遥貴は驚いて目を見開く。
でも、その顔は一瞬だけで、私に呆れたように、大きな溜息を吐いて、私の顎に添えてた指を離した。
そして荻野 遥貴は姿勢を変え、腕組みをして、私を見下ろして
「構わないでって言われても、あんたは俺の補佐だからねー、そうはいかないでしょ?」
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