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整った顔立ちで、背が高い彼は周囲の興味を引き寄せていて、周りの女子高校生やOLはチラチラと彼を一瞥する。 大口開けて大笑いしている彼は、革のスクールバッグを脇腹と腕で挟むように持っていた。 彼の制服は半袖の白いシャツに紺色のズボン。紺色のズボンの制服は、秋が深まると学ランに衣替えする。誰もが知っている有名な男子高校生の制服だった。 初めて彼を見てぼーっとして時に、中学の同級生だったみっちゃんとホームで会った。 「ユウ!久しぶり!どうしたの?珍しいね、電車通学なんて。」 みっちゃんは私を見つけて、大声で声をかける。 中学校を卒業して半年、久しぶりに会ったみっちゃんに、私は「きゃあ!みっちゃんっ!久しぶり!」と、みっちゃんの手を取ってはしゃぐ。 私の名前は萩野 柚葉(はぎの ゆずは)。 秋に生まれたから、柚葉と命名されたけど、この名前で小学校の時には男子に随分冷やかされた。
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