13002人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、それはユズが幸せな顔で笑えないって思った。
気が強くて、俺に刃向かっても一生懸命に仕事を頑張るユズの笑顔を、俺が奪う事だとわかったから・・」
ハルのハスキーな低い声は、ますます掠れて、途切れながら
「ユズをサポートするって事は・・例え、それが、ユズと離れる事になっても・・ユズがユズである事を守ってやりたいと思った。」
最後の声は消え入りそうな声だった。
私はただ黙って聞いて、涙をボロボロ零していた。
ハルは、はぁーと大きな溜息をついた後、私を後ろからギューっと抱き締めた。
「俺が一年後に異動する事を言えなかったのは、ユズが居なくなると言う現実から、逃げてたんだ。」
全てを吐き出すように、ハルは言う。
「・・ハル。」
「・・ん？」
「・・さっき、別れようって、言ったのは・・本気だった？」
涙声で、震えながら聞く。
最初のコメントを投稿しよう！