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無理に作った笑顔だけど、列車の揺れで隣のサラリーマンの身体が少し斜めに倒れて来たから、私の身体も押されて眉を顰める。 おかげで無理に作った笑顔がばれずにすんだと、少し安堵した。 「だったら、同じ車両の方が良かったんじゃない?」 私は目線を隣の車両に向けるものの、満員の乗客で車両の連結している貫通扉すら見えない。 「ううん。だって一緒の車両は恥ずかしいってのもあるけど、他の人がいるから。」 「他のヒト?」 「うん。ハルの周りには、女の子が結構いてるの。」 どうやら、みっちゃんと同じようにハルを好きって思う女の子達が多いらしく、そんな女子達は、あからさまにハルと同じ車両に乗る。それ押し退けて同じ車両に乗って近づく事なんて、到底ムリって苦笑いするみっちゃん。 「恋愛の偏差値が低いからねー。本当にまだ見てるだけなの。」
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