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結局、子供たちは自らの浅黒い肌を打ち消すように、肌が白い“清教徒”たちと結婚し、間に生まれた子供たちにこう言い聞かせた。
「よくお聞き。私達シモンズは薄汚いジプシーの盗賊団だった。その罪を償うために私達は“清教徒”になった。科学を信じて正しく生きなさい。」
しかし親からこんな救いようがない話をされて、喜んで納得する子供はいない。
幼い子供たちは祖母であるジャミーの元へ、夢のある伝説を聞きに通い始めた。
それでも我が子を異端者にしたくない一心で、親たちはジャミー達を痴呆症だと決めつけ、山奥の修道院へ追放した。
「なんて恩知らずな子供たちだ!」
憤るユーリにジャミーは寂しげに呟いた。
「仕方がないわ。時代の流れよ。」
当主夫婦を追放した後、一族は財産を分け合い、非科学的な記録は処分した。
その中には豊かな物産を誇るヴィンランド(ブドウの国)に関する記録も含まれていて、長く続いたスクレリング達との交易もスッパリやめた。
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