生き残った伝説

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 そんな子供たちの話を聞いて、ユーリとジャミーは完全に怒った。 「一族の誇りを忘れ、古(イニシエ)の神々の恩を忘れ、さらに血を分けた従兄弟たちまで利用するなんて!」  激怒するジャミーを子供たちは鼻で笑った。 「一族の誇りなんて、ただの作り話じゃないですか。古の神々だって単なるお母様の妄想です。そんな非科学的なものに頼っていたら、時代に取り残されて、まともな商売なんかできませんよ。」 「だが、実際に粥がなくならない釜や、船を操る魔法の枝はあっただろう!」  ユーリが叫ぶと、子供たちは冷たく笑って答えた。 「あんなガラクタにそんな力なんかありません。実際に私達が使っても魔法は使えなかった。だから捨てましたよ。」 「それは、お前たちが魔法を信じないからだ!」  ユーリはそう言い返すと、愛用の魔槍ゲイ・ボルクを振りかざした。 「この槍だってそうだ。子供の頃から使い続けてきた必殺の武器だ。それでもお前たちは伝説を信じないのか!」 「じゃあ、私と勝負して、有りもしない魔法の力を見せてください。」  長男ジュリアンが剣を構えて歩み寄った。
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