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魔槍ゲイ・ボルクの呪いとは、持ち主に不幸な死を与える呪いだ。
これまでユーリが呪いにかからなかったのは、常に戦場で敵の血を吸わせてきたからだ。
戦場にでなくなって久しい状態で敵を殺さなかったユーリは、ゲイ・ボルクに持ち主の資格がないとみなされ、息子の代わりに命を吸い取られた。
「あなたひとりを、失う訳には……いかないわ。」
そう告げるとジャミーはゲイ・ボルクを抱え上げ、その切っ先に自らの心臓を当て、そのまま倒れ込んだ。
「お母様!」
その壮絶な最後に子供たちは泣き叫んだ。
「……伝説のない、シモンズに……未練は、ありません。……あなた達は、自ら信じた道を……歩み、続けて、ください……。」
そう言い残すと、ジャミーは愛しのユーリに、重なるように事切れた。
「お母様……。」
ジュリアンは涙を流しながら、母の亡骸に語りかけた。
「私たちは、科学を信じる事で、シモンズ商会を、守り育てるつもりでした。……だけど、そのために、色々なものを、見失っていたようです……。ごめんなさい。」
こうして。
当主のジャミーとユーリは子供たちに手厚く葬られた。
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