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果たしてジョセフの悪い予感は的中し、ポルトガルは手を組んだコチンに従属を認めさせ、商館だけでなく堅固な要塞も建てた。
アンジェディヴァ、カナノールまでポルトガルは占領し、大量の香辛料を独占した。
礼儀知らずで横暴なポルトガル商人たちは、特にイスラム商人とは争いが絶えず、シモン一族が仲裁に入る事も増えた。
イスラム商人の言い分は「コレマデ市場ヲ支エテ来タノハ我々ダ!」と先輩風を吹かす。
ポルトガル商人の言い分は「我々は神の定めた時に従ってこの地へやってきた正当な支配者だ。」と傲慢無礼な態度を崩さない。
そんな両者のいがみ合いで、地元の商人や“東”の商人は商売がやりにくいと嘆くばかり。
一番困った事は、ポルトガル商人は他の商人たちへ敬意を払うどころか、全てが奴隷だと信じこんでいて、少しでも気に入らない相手を平気で殺した。
見るに見かねたジョセフがコチンの要塞へ足を運んだが、司令官に会うどころか浅黒い肌から土人扱いされ、門番に追い返された。
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