語り継がれる伝説

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 十六世紀初頭のインドでは、ようやく南方航路を発見したばかりの“西”の航海士達が、とある建物を前に立ち尽くしていた。 「そんな、バカな……。」 “歴史書”に定められた時に従い、インド西南にあるカレクトへたどり着いたというのに、目の前にある商館には何人たりとも入る事ができなかったのだ。  カレクトの連中が言うには、蒼き狼と白き牝鹿の血を引く者以外には、立ち入れない結界が張られているらしい。 「こればかりは、いくら“西”の力を持ってしても、崩す事はできまい。」  カレクトの王族は野蛮な“西”の航海士達を嘲笑った。  ところが。  みすぼらしい姿をした老人と若者が歩み寄り、カレクトの王族にうやうやしく挨拶をした。 「我等は蒼き狼と白き牝鹿の子孫です。両親が果たせなかった再会の約束を守るため、遥々“北”の海から参りました。」  カレクトの王族達は、このみすぼらしい二人に驚いた。 “西”から来た野蛮人とは違い、礼儀正しく挨拶をしてきたからだ。  しかも老人の腰には、父祖から語り継がれた覇者の証である、太陽のレリーフが光る刀があった。
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