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ジョセフは長旅を共にしてきた家族をカレクトの商館に呼び寄せた。
「俺は豊かな“南”の海を、欲張りで礼儀知らずな“西”の連中から守る。恐らく俺が生きている間にできる仕事はそれだけだ。」
「他にもやりたい事があるのか?」
子供たちと遊んでいた守護妖精がジョセフに訊ねた。
「ああ。できれば“北”の海で頑張っている従兄弟たちに会いに行きたい。昔、ガーダナさんが言ってたように、別れた従兄弟たちに財宝と土産話を持って、帰ってみたいんだ。」
「そうか。私がこの海を守るから、その間に帰ってみればどうだ?」
守護妖精の申し出をジョセフは悲しげに断った。
「奴らの武力は大した事はねえ。問題は“天空”の入れ知恵と卑怯な策略だ。今は俺が睨みをきかせているからいいが、俺が抜けたらカレクトの王族たちが“西”の連中に騙される恐れがある。」
守護妖精は今は亡き仲間、航海士トマと黒い巨人アベバ直伝の策謀を受け継いだ、ジョセフの頭脳を高く評価している。
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