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晩年を迎えた四代目J=シモンことジャミーと、その夫ユーリはある問題を抱えていた。
かつて“天空”と教会が独占していた科学とは異なる、人間が新しく生み出す科学を信仰する“清教徒”(ピューリタン)が現れ始めたのだ。
ジャミーの子供たちは喜んで“清教徒”になり、同志たちの生活の面倒を見るようになった。
それだけならジャミーは喜んで協力しただろう。
問題は新しい科学も科学である事に違いはなく、シモン一族の過去を子供たちは全て否定し、一切信じなくなってしまった。
「お母様。いい加減ご自分をジプシーだと認めてください。私達は浅黒い肌のせいで、人々に嫌われています。」
こんな事まで言われる始末だ。
その度にユーリは子供たちを叱る。
「何度言えばわかるんだ! お前たちはインヂアの血を引いているだけで、ジプシーなんかじゃないぞ!」
「じゃあ、お母様がジプシーでない証拠を見せてください。」
コショウや絹を見せても、子供たちは納得するどころか、貴重品を強奪するジプシーの盗賊だと騒ぎだす。
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