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『終末』まで、今日を含めてあと2日。
これが『週末』なら、テンションも上がり仕事も頑張れるのに・・・。
目の前にある私のデスクには、今日の保育の指導案がチェック済みの状態で返却されていた。
シャープペンシルで『書き直し』と書かれた項目を修正し、園長の机の上にそれを提出する。
幼稚園教諭1年目。
まだまだ未熟で手探りの毎日。
それでも一生懸命、頑張ってるつもりなんだけどなぁ・・・。
職員室の時計を見ると、もうすぐ8時半になろうとしている。
保育の開始は8時半。
そろそろ教室に行かなくっちゃ。
私が担任するクラスは、年長クラスの『もも組』。
来春から小学生になる我がクラスの子どもたちは、もうそれなりに世の中の変化にも気付けるようになってきている。
明日のクリスマスで、この地球がなくなってしまうかもしれない。
その事を理解しているのか、ここしばらく子どもたちの様子は不安定だった。
そして徐々に、登園してくる子どもの人数も減っていく・・・。
「笑美先生、おはよー!」
1階の職員室から2階にある教室へと向かおうとした時だった。
玄関の方から声を掛けられ、思わずその声の方を振り向く。
「あっ、優心君、おはよう。」
声を掛けてきたのは、担任するクラスの園児・優心君。
彼の家は郊外にあり、幼稚園バスの送迎は行わない地域で暮らしていた。
そして彼のお母さんは、仕事が忙しい人。
こんな状況下でも、彼女は息子を預けて仕事に向かうようだ。
「笑美先生、すみません。
昨日の大雪のお陰で道路が混んじゃってて・・・。
もう職場に向かわなきゃいけないので、後の事お願いしてもいいですか?」
玄関でせっかちにそう話す優心の母に、私はニッコリと笑顔を作った。
「わかりました。
塩出さん、今日も預かり保育の利用でよろしいんですよね?」
そう彼女に尋ねると、優心の母は「お願いします」と告げ、そのまま園舎を出て駐車場へと向かって行ってしまった。
そんな母の姿を、手を振りながら見守る優心君。
「さぁ、行こうか。」
彼の手を取り、2階にある『もも組』の教室へと向かう。
クラスの園児はまだ誰も来ていない。
・・・今日は一体、何人の子どもたちが来てくれるのだろうか。
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