きつねのよめいり

―――

明日からは、冬休み。

だけど、パパやママはきっとお仕事なんだ。

明日も僕は、幼稚園に来る。

笑美先生のいる『もも組』も大好きだけど、『あずかりのおへや』で遊ぶ事も大好きだから。

明日幼稚園に行ったら、サンタさんから貰ったプレゼントを預かり保育のみんなに自慢しよう。

―――サンタさんへ

『じくうせんたいサイレンジャー』のDVDをください。

いちばんおもしろくて、あたらしいのがいいです。―――

ちゃんとお手紙に書いたもの。

一番すごいやつをちょうだい・・・って。

薄暗い、お寺の本堂。

そこに僕たちは集まり、畳の上に正座している。

正面には、金ピカの『ののさま』。

きっと今朝見たキツネは、この『ののさま』が変身した姿だったのかもしれない。

―――ののさま、僕はののさまの事、大好きだよ！

そんな気持ちを込めて、大きな声で歌を歌う。

―――ののさまに～、あげましょ綺麗なお花～♪

ののさまに～、あげましょ綺麗なお水～♪―――

大きな声で歌っていると、僕が並ぶ列の脇にいた笑美先生と目が合った。

先生の顔は、とても嬉しそうだ。

そして他の先生たちも、歌を歌う僕たちの事を嬉しそうに見つめている。

だけど・・・、ののさまの隣に立つ園長先生は、自分の顔を掌で隠していたんだ。

どうしたんだろう・・・？

ばあちゃん先生、もしかして泣いてるの・・・？