二章

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ついて行った先には、大きな木の中がくりぬいて作られた家があった。 「私は……イメルガ・アクアです。一族から離れて、ここに一人で住んでいます……」 中に通された俺達は、真っ先に揺り椅子に座った彼女から自己紹介を受けていた。 さっきの少年は、奥の部屋でお茶を淹れてくれているらしい。 「えっと俺は、ソール・イーグニスです」 「私はアミル・フォルティアです」 「ソール君に……アミルさん、ですね……」 ぎぃぎぃと揺り椅子を鳴らしながら、イメルガさんは俺達の名前を反芻した。 「あの、イメルガさん。もしかしてですけど、あなたは勇者側近の……水の一族ですか?」 アミルが唐突にそんなことを言い出した。水の一族は、確かにアクアって家名らしいが、まさかこの人がそのアクア家な訳はないだろう。 「……私は……」 「「……」」 「……」 「「……」」 「……すぅ」 寝始めた!? 「えっ、あの、イメルガさん?」 すうすうと眠るイメルガさんに、俺達は戸惑うことしかできなかった。 困り果てていると、奥の部屋からさっきの少年がお茶をトレーにのせて持って現れた。 「……あー、寝ちゃったか」 少年は慣れているようだ。トレーをテーブルに置き、イメルガさんの肩を揺する。 「アクア、アクア」 「ん……んぅ……。あぁ、ごめんなさい……眠ってまし、た……すぅ」 「アクアー……これは無理だな。ええと、なんならオレが代わりに話を聞くが……」 苦笑した少年が俺達の方を向く。俺は少し身体を強ばらせ、アミルは剣の柄に手をかける。 「おいおい、そう固くならないでくれよ」 すごく無理な話だよな。だってさっき、俺の目の前に刃を走らせた張本人だぞ、この少年。 「おっと、そういえばまだ名乗ってなかったな。オレはルトルム・アステラ。地の一族だ」 「え?アステラ……って、勇者側近の一族じゃない」 「その通り!だから実年齢はお前らよりもずっと上だ」 ニヤリと不敵な笑みを浮かべて笑う少年、いやルトルム。 アステラっていう地の一族は、俺達の十年を一年と感じるほどに長命な一族だ。だからまあ、ルトルムも多分百いくつくらいなんだろう。ものすごくしっくりこないけどな。 「あぁそれと、アクアは確かに勇者側近の一族だ。水の、な」 そしてまさかのイメルガさんも勇者側近一族だった。近場にいるもんだな。 「さて、あと何か聞きたいことはあるか?」
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