二章

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どっかとソファーに腰掛けたルトルムは、どっからどう見ても少年だ……。 「聞きたいことというか、私は本当にあなたがアステラ一族なのか確かめておきたい」 「ほぅ。……まあいいが」 ルトルムはソファーから飛び降り、傍にあった観葉植物の植木鉢を叩く。 「よく見てろよ」 言うが早いか、ルトルムは植木鉢から一握りの土を取る。 「【プラスティコス】」 よく分からない言葉を唱えた次の瞬間、ルトルムの手の中には土ではなく、ナイフが収まっていた。 驚きのあまり、俺はアミルの方を見たが、アミルはさも当然だとでも言う風にルトルムを見ていた。 「もう少し凝った物はできないの?」 「やれやれ……疑ってかかる人か。別にいいが、何がいい?」 呆れたように苦笑したルトルムは、再び植木鉢から土を取る。 「そうね……じゃあ、そこのと同じティーカップ。できる?」 テーブルの上、トレーに置かれたティーカップを指差して、アミルはルトルムを見る。 土を握ったルトルムの手は、テーブルの上に差し出された。 「……【プラスティコス】」 さっきよりも少しだけ間を開けて、さっきと同じ言葉を唱えた。すると、カタンという軽い音をさせて、テーブルの上にティーカップが現れた。 俺はまたアミルを見た。アミルは一度頷いて、音のない静かな拍手をする。 「確かにあなたはアステラ一族のようね」 「最初からそう言っているがな」 二人が少し言葉を交わしている間に、俺はテーブルに現れたティーカップとトレーにのったティーカップをまじまじと見て、触って比べていた。 「すげぇ、同じだ……」 見た目に装飾、色、そして手触り、すべてが同じだった。 俺の呟きが聞こえたらしく、ルトルムが胸を反らせて笑う。 「当然だ。オレは秀才だからな。だが、妹はもっとすごいぞ」 「妹?」 「ああ」 俺はルトルムの表情を見て、直感的にまずいことを聞いたことが分かった。 「オレの妹はすごいぞ。オレみたいに、呪文を必要としない。土を一握り取って、作りたい物を思うだけですぐさまできるんだ。あれはもうオレ達アステラ一族でも稀な存在…天才と言っても過言じゃないな。そもそも妹は――」 そこからはもう、マシンガントークと言っても差し支えないほどの喋りっぷりだった。 妹がいかに素晴らしい天才か、イメルガさんが起きるまでいやというほど話された。
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