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「……んんー、よく寝ました」
寝起きのイメルガさんは随分としゃっきりしていて、少し前のゆったりとした様子は見当たらなかった。ほわほわした雰囲気を纏ってはいたが。
「あっ、ソール君とアミルさん……ですよね。ごめんなさい。私、ここ数日徹夜続きなんです。それで、つい気が緩んでしまったみたいで……」
「そ、そうでしたか」
「えっと……それで、なんの話でしたっけ?」
首を傾げるイメルガさんに、俺は「何でもないです」と告げる。正直、今色んな話をされてたとしても、俺とアミルはそれを聞いていられないと思う。
その原因の元凶は、ソファーでくつろいでいる。
「あれ、そういえば、どうしてアクア家とアステラ家の人が一緒に住んでるんですか?」
アミルが素朴な疑問を零した。俺もそれは気になっていたので、イメルガさんとルトルムを見る。二人は顔を見合わせて、イメルガさんが口を開いた。
「……成り行きですかね?」
「あぁ……確かに成り行きだな。細かく言うならば、オレが行き倒れていた所をアクアが助けてくれて、そのまま居候している。といったところか」
ルトルムの補足が答えだった。というか本当にイメルガさんの言うように、成り行きだな。
「あ……。ルトルム君、少しお願いします」
「ん?……あぁ、分かった」
イメルガさんはハッと何かを思い付いたように立ち上がり、ルトルムにそう言って家から出て行った。
その行動の意図が分からず、アミルと二人で「?」と思っていると、ルトルムが気付いたのか「知りたいか?」と問う。
「そりゃ知りたいが……」
「そうか。なら、見に行こう。森のローレライを」
森のローレライ?それって確か、俺達が探しに来たやつじゃ……。
思う事は色々とあったが、ルトルムがさっさと家から出て行くので、俺とアミルは慌ててその後を追う。
森の木々が鬱蒼と茂る中、すいすいと木々の間を縫うルトルムの後ろを、急いで追いかける俺達。ようやくルトルムに追い付いたかと思えば、目的地に到着していた。
目的地は、あの湖だった。
「ほら、あそこ」
ルトルムが指差す方を見れば、湖の畔に、イメルガさんが立っていた。
一体何をするのかと、イメルガさんを食い入るように見ている、と。
《パシャン》
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