二章

5/10
前へ
/152ページ
次へ
「……んんー、よく寝ました」 寝起きのイメルガさんは随分としゃっきりしていて、少し前のゆったりとした様子は見当たらなかった。ほわほわした雰囲気を纏ってはいたが。 「あっ、ソール君とアミルさん……ですよね。ごめんなさい。私、ここ数日徹夜続きなんです。それで、つい気が緩んでしまったみたいで……」 「そ、そうでしたか」 「えっと……それで、なんの話でしたっけ?」 首を傾げるイメルガさんに、俺は「何でもないです」と告げる。正直、今色んな話をされてたとしても、俺とアミルはそれを聞いていられないと思う。 その原因の元凶は、ソファーでくつろいでいる。 「あれ、そういえば、どうしてアクア家とアステラ家の人が一緒に住んでるんですか?」 アミルが素朴な疑問を零した。俺もそれは気になっていたので、イメルガさんとルトルムを見る。二人は顔を見合わせて、イメルガさんが口を開いた。 「……成り行きですかね?」 「あぁ……確かに成り行きだな。細かく言うならば、オレが行き倒れていた所をアクアが助けてくれて、そのまま居候している。といったところか」 ルトルムの補足が答えだった。というか本当にイメルガさんの言うように、成り行きだな。 「あ……。ルトルム君、少しお願いします」 「ん?……あぁ、分かった」 イメルガさんはハッと何かを思い付いたように立ち上がり、ルトルムにそう言って家から出て行った。 その行動の意図が分からず、アミルと二人で「?」と思っていると、ルトルムが気付いたのか「知りたいか?」と問う。 「そりゃ知りたいが……」 「そうか。なら、見に行こう。森のローレライを」 森のローレライ?それって確か、俺達が探しに来たやつじゃ……。 思う事は色々とあったが、ルトルムがさっさと家から出て行くので、俺とアミルは慌ててその後を追う。 森の木々が鬱蒼と茂る中、すいすいと木々の間を縫うルトルムの後ろを、急いで追いかける俺達。ようやくルトルムに追い付いたかと思えば、目的地に到着していた。 目的地は、あの湖だった。 「ほら、あそこ」 ルトルムが指差す方を見れば、湖の畔に、イメルガさんが立っていた。 一体何をするのかと、イメルガさんを食い入るように見ている、と。 《パシャン》
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加