二章

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「お前らはこれからどこへ向かうんだ?」 そういやどこに向かうんだったか。アミルを見やれば、冷ややかな目を向けられた。 「フィーデス、よ」 「ああ、あそこか。……なら、イイ物をやろう」 ちょっと待ってろ、と言ったルトルムは、部屋の奥に消える。 俺は、待っている間に、次の町のことをアミルに聞いてみることにした。 「フィーデスって、どんなとこだ?」 「簡単に言うならば、鉱山の町かしら。鉱物の採掘や加工を生業とする人が多いらしいわよ」 「へぇ、楽しみだな」 「あまりゆっくりはしていられないんだからね」 アミルに溜め息を吐かれた。でも、楽しみなものは楽しみだ。おそらくアミルも、実際楽しみなはずだろう。 何てったって、俺達はあの村からろくに出たことがないのだから。 「待たせたな。最近出してなかったから、どこに仕舞ったのかすっかり忘れていた」 しばらくして、ルトルムが小さな布袋を手に戻ってきた。 「それ、なにかしら?」 「これが、イイ物だ」 アミルがそう問うと、ルトルムは口の端だけで笑ってそう答え、俺の手にその布袋を乗せる。 思わずその布袋を開けようとしたら、ルトルムに制された。 「開けない方がいい」 「え。中身、危ない物なのか?」 「いや?」 何故止められたんだか分からない。そんな思いが顔に出ていたのか、ルトルムのみならず、アミルにまで苦笑された。 「せめて何か聞いてから開けなさいよ、不用心ね」 「これじゃあ、今後が心配だな」 「……で、何これ」 布袋を持った感じでは、さらさらとして流れるような感触だ。 「砂だ」 「砂?」 聞き返す俺と、首を傾げるアミル。 とりあえず、開けない方がいい理由はわかったけどさ。砂だったら多分、零してた。 「お前らはそのうち、俺の妹に会うだろう。それは妹に会った時に渡してやってくれ」 それ、と指した布袋を見つめるルトルム。俺はますます訳が分からなくなってくる。 「えーと、妹って言われても、俺知らないんだけど……?」 「心配するな。妹だと知った時でいい」 「覚えてたらな……」 小さく頷いて布袋をしまうと、ルトルムが笑いながら「それでいい」と言う。いいのか。 「というか、どうして私達があなたの妹に会うと言えるの?」 「あ、確かに」 アミルの質問に、ルトルムは待ってましたと言わんばかりの表情をし、大きく一言。 「兄の勘だ」 ……勘かよ!
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