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「お前らはこれからどこへ向かうんだ?」
そういやどこに向かうんだったか。アミルを見やれば、冷ややかな目を向けられた。
「フィーデス、よ」
「ああ、あそこか。……なら、イイ物をやろう」
ちょっと待ってろ、と言ったルトルムは、部屋の奥に消える。
俺は、待っている間に、次の町のことをアミルに聞いてみることにした。
「フィーデスって、どんなとこだ?」
「簡単に言うならば、鉱山の町かしら。鉱物の採掘や加工を生業とする人が多いらしいわよ」
「へぇ、楽しみだな」
「あまりゆっくりはしていられないんだからね」
アミルに溜め息を吐かれた。でも、楽しみなものは楽しみだ。おそらくアミルも、実際楽しみなはずだろう。
何てったって、俺達はあの村からろくに出たことがないのだから。
「待たせたな。最近出してなかったから、どこに仕舞ったのかすっかり忘れていた」
しばらくして、ルトルムが小さな布袋を手に戻ってきた。
「それ、なにかしら?」
「これが、イイ物だ」
アミルがそう問うと、ルトルムは口の端だけで笑ってそう答え、俺の手にその布袋を乗せる。
思わずその布袋を開けようとしたら、ルトルムに制された。
「開けない方がいい」
「え。中身、危ない物なのか?」
「いや?」
何故止められたんだか分からない。そんな思いが顔に出ていたのか、ルトルムのみならず、アミルにまで苦笑された。
「せめて何か聞いてから開けなさいよ、不用心ね」
「これじゃあ、今後が心配だな」
「……で、何これ」
布袋を持った感じでは、さらさらとして流れるような感触だ。
「砂だ」
「砂?」
聞き返す俺と、首を傾げるアミル。
とりあえず、開けない方がいい理由はわかったけどさ。砂だったら多分、零してた。
「お前らはそのうち、俺の妹に会うだろう。それは妹に会った時に渡してやってくれ」
それ、と指した布袋を見つめるルトルム。俺はますます訳が分からなくなってくる。
「えーと、妹って言われても、俺知らないんだけど……?」
「心配するな。妹だと知った時でいい」
「覚えてたらな……」
小さく頷いて布袋をしまうと、ルトルムが笑いながら「それでいい」と言う。いいのか。
「というか、どうして私達があなたの妹に会うと言えるの?」
「あ、確かに」
アミルの質問に、ルトルムは待ってましたと言わんばかりの表情をし、大きく一言。
「兄の勘だ」
……勘かよ!
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