二章

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翌朝。最近の野宿の所為か、日の出と共に起きてしまった、はずなんだが。 「おはようごさいます。ソールさん」 「イーグニスおはよう。遅いな」 「お、おはよう……ごさいます」 イメルガさんとルトルムは既に起きていて、そのまま朝食をとっているところだった。俺やアミルの分も置いてあったので、ありがたくいただく。 「昼前には発つのか?」 「そのつもり。アミル次第だけど」 「あぁ。お前は一応、フォルティアの従者だったな」 どこか嘲笑うような口振りのルトルム。まぁ確かに、俺はアミルのお供だけど。 「ほんとに……」 「あの、ソールさん」 「え?」 挨拶をして以降、一言も発さなかったイメルガさんが、真っ直ぐ俺を見る。 ルトルムは一瞬だけ戸惑っていたが、すぐさま開きかけた口を閉じていた。 「もし、ご迷惑で無ければ……ですが。お二人に、ご同行してもよろしいでしょうか……?」 「……えっ?」 「わ、私……足手まといにはなりません。道中の戦いにも、微力ながらお力添えいたします」 「えっと、あの、ちょっと待ってください」 唐突なイメルガさんの発言に、俺は対処できずに慌てた。 どういうことかという前に、そもそもどうしてそんな話になったのかと。聞きたかったがそれどころじゃない。要するに、混乱している。 「おはようごさいます。ソール、相変わらず朝早いわね……何してるの?」 何もこんなタイミングで起きてこなくても……! 結局は、アミルに決定付けてもらうことになった。そうなったら、結果はなんとなく見えている訳で。 「――で、ご同行させていただきたいと……」 「本当ですか!?是非とも、こちらこそよろしくお願いします!」 「ありがとうございます!」 やっぱり。 アミルはそういうとこ拒みはしないからな。 朝食を片付けた後、俺達はすぐさま森を発つ。イメルガさんは既に旅支度も出来ているらしく、何の問題もなく出発ができるようだ。 「それでは。留守番など、お願いしますね」 「ああ、任せろ。お前ら、もし妹に会ったら、よろしく言っといてくれ」 「分かった」 かくして、俺達はルトルムを森に残し、イメルガさんを旅の仲間に加え、次の町……えっと。 「アミル、次の町ってどこだっけ?」 「フィーデス、よ。いい加減覚えなさい!」 そうそう、フィーデス。 次の町、フィーデスへと向かうのだった。
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