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「――ということがあり、この世界の四大元素を司る一族……
風の一族『ウェントス』。
水の一族『アクア』。
火の一族『イーグニス』。
地の一族『アステラ』。
そして、勇者一族『フォルティア』。
これらの者達は、勇者とその従者達として、長らく語り継がれている訳だ。ソール。分からないところはあったか?」
「ないでーす」
「よろしい。では、本日はここまで」
ありがとうございました。と上っ面だけの言葉を言い、俺は先生……もとい親戚の人に会釈する。
先生が部屋から出て行って俺一人になったことを確認してから、少し間を置いて部屋を飛び出した。
「ソール!」
庭では、幼なじみのアミルが俺に向かって手を振っている。
アミル・フォルティア。俺と同じ十七歳で、黄色地に橙チェックのケープと赤髪のポニーテールが特徴的だ。
さっき先生が言っていたように、勇者一族の末裔だ。俺は火の一族の末裔。つまり、俺達は勇者とその従者……と言っても過言ではないのだ。
「アミル。今更だが、俺と一緒に遊んでていいものなのか?剣の練習とか……――」
《ガッ》
しなくていいのか?と、言い終わらないうちに、俺の足元の地面が突然削れた。
「鍛練もいいけど、息抜きだって必要でしょ?」
いつの間にか鞘から剣を抜いて笑うアミルに、俺はサッと血の気が引いた。
アミルは剣術に長けている。さすが勇者一族と言うべきか。特に、斬撃を飛ばすということが得意だ。今し方俺の足元の地面を削ったのも、アミルの斬撃だ。
「これ、結構怖いんだぞ」
小さく不平を言えば、アミルは「大丈夫」と言う。
「ちゃんと当たらない所を狙ってるから」
「……さすが勇者」
皮肉のつもりで言ったが、アミルはただ笑っただけだった。若干、顔が引きつっているように見えるが、それを指摘したら斬撃が飛んできそうだったから黙っておく。
「まあいいじゃない。この辺りじゃ、同年代がソールくらいしかいないんだから。家族は……いないし」
「そうだな……」
アミルは幼い頃に、両親及び親族を事故で亡くした。
しかも俺やアミルが住むこの辺りは、勇者一族と火の一族の二つの一族のみが住む村しかなく、アミルくらいの年の子は俺くらいしか居ない。
だからと言うべきだろうか。俺達は小さい頃からよく一緒にいる。多分、これからも。
どことなく陰鬱とした空気が漂う中、俺達の方に誰かが寄って来た。
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