β章

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坑道の奥へ奥へと歩き続け、どんどん強くなる魔物の気配に、ラディウスを構えざるを得なかった。 「……あれ、か」 坑道の真ん中に、何かが巣を作っている。その姿や大きさは、どう考えても普通の生き物ではない。 一歩、それに近付くと、それも私に気付いたのか、目であろう部分を光らせて私を見た。 瞬間。私は剣を魔物に振り下ろす。緑色の液体がそこかしこに飛び散り、魔物は真っ二つになって倒れる。 思ったよりも楽に倒せた、が。魔物が倒れた拍子に地盤が緩みでもしたのだろうか、よく分からないが、坑道内が揺れた。 この場に留まるのはよくないと判断し、私は来た道を全速力で引き返す。 「くっ……」 思ったよりも奥に来ていたようだ。走っても走っても、外の光は見えない。 ひび割れる壁を横目に走り続けると、ちらりと遠くの方に明るさが見えた。出口だろう。 私は少しだけ緊張を緩めた。 《ゴゴゴゴ……》 緩めたのは間違いだと気付いたのは、外の光が落盤で見えなくなってからだった。天井どころか付近の壁まで崩れ、前後の道を土砂が塞ぐ。 生き埋めになってしまった私は意外と冷静で、すとんとその場に腰を下ろした。 「……さて」 どうしよう。などと独り言を言っている場合などではないのだが、自分でも驚くくらいに落ち着いている。 土砂を魔法で何とかするのは難しいだろう。私の知る魔法は、どれも現状を悪化させるものばかり。となると、自らで何とかするしかない。 素手で土砂を掘ってみた。土砂は多少さらさらとしていたが、掘った穴がすぐさま埋まるようなことにはならない。 私は穴を掘り、前へと進む。この土砂の壁がどのくらい広がっているのか、私には分かりようがないけれど、前へ進む。 死にたくない、ただその一心で。 ボコッと、目の前の土砂がどけられた。 突き刺さるような光、思わず目を瞑れば、聞き慣れた声が耳に届く。 「ルーナ!」 彼だ。顔を見なくても分かる。
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