45人が本棚に入れています
本棚に追加
私は彼に引っ張ってもらいながら、炭坑から這い出た。外が久しぶりに感じるが、日の高さからしてそう時間は経っていないだろう。
「ルーナ、生きててよかった!町長さんが知らせてくれて……。僕、心配したんだよ!」
彼が私を抱き締めようとするので、今までずっと離さなかったラディウスで彼の頭を叩く。
「いたた……酷いよルーナ」
ふと見えた彼の手は、指はおろか手首まで土に汚れていた。
彼も私のように、夢中で土砂を掘っていたのだろうか……そう考えると、何やらむずがゆいものを感じる。
「でも……無事でよかったよ」
無意識か、ぽつりと聞こえた彼の言葉。
そういえばお礼すら言ってないことに気付いた。
「ありがとうな、ノヴァ」
名前も添えて言えば、喜びを通り越して固ってしまった。これはこれで面白いな。
最初のコメントを投稿しよう!