β章

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私は彼に引っ張ってもらいながら、炭坑から這い出た。外が久しぶりに感じるが、日の高さからしてそう時間は経っていないだろう。 「ルーナ、生きててよかった!町長さんが知らせてくれて……。僕、心配したんだよ!」 彼が私を抱き締めようとするので、今までずっと離さなかったラディウスで彼の頭を叩く。 「いたた……酷いよルーナ」 ふと見えた彼の手は、指はおろか手首まで土に汚れていた。 彼も私のように、夢中で土砂を掘っていたのだろうか……そう考えると、何やらむずがゆいものを感じる。 「でも……無事でよかったよ」 無意識か、ぽつりと聞こえた彼の言葉。 そういえばお礼すら言ってないことに気付いた。 「ありがとうな、ノヴァ」 名前も添えて言えば、喜びを通り越して固ってしまった。これはこれで面白いな。
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