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三章
「アミルさん。今、私達はどこに向かっているんでしたっけ?」
「えーっと、ですね……」
ざくざくと道のようなそうでないような場所を歩く俺。その後ろでは、アミルとイメルガさんが和気藹々と地図を広げつつ歩いている。
「今はこの辺を歩いています。それで……ここ、ここです」
「ここ……フィーデスですか」
「はい!」
一人孤独に歩く俺の後ろで、二人とも楽しそうだ。ちょっとした疎外感は否めないが、二人の会話に入れるほど、俺は精神的に強くはない。
「フィーデスって、石の街とも言われるくらい、採掘に富んでいる街らしいですよ」
「私のとこにあった文献ですと、かなり昔からそう言われる場所のようでした。別名、宝石の街……ともいうらしいです」
「へえ……すごいですねイメルガさん!」
「いえ、そんな……」
というか、こんな会話にさらっと入れる奴がいるなら逆に知りたい。入る隙なんてねえよ。
「そうよねっ、ソール!」
「何故俺に振る!?」
確かに会話に混ざりたくないと言ったら嘘になるが、だからといってこんな会話の入り方は嫌だった……。
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