三章

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「まあ、なんでもいいからとりあえず急ぐわよ。また迷ったりしないように、ちゃんと道は確認しときなさい!」 「痛いっ!」 アミルは俺に地図を投げつけてきた。渋々地図を広げて道を確認……よし、間違ってないな。 また間違ったら、今度こそ死ぬかもしれないという不安を胸に、俺は道っぽい地面を踏む。 話し声……にしては随分荒々しいものだなと、それが第一印象。 次いで悲鳴が聞こえたので、俺達はすぐさま声のした方に向かう。 この辺りで変だな、とは思った。なんせ悲鳴が明らかに男の声だったから、な。 「大丈夫ですかっ!?」 まずアミルが突入し、イメルガさんと俺がその後ろにつく。 一応、罠だという可能性を考慮しての突入をしたんだが、杞憂に……いや、杞憂というか、奇妙な終わり方を迎えた。 「あ、あ……ひぃいいいっ!」 「たたたすぇああぁああ!」 俺達の姿を見た途端、二人組の男性が言葉になりきれない悲鳴をあげながらどこかに走り去って行ったからだ。 「え……なに、あれ……」 アミルはぽかんとしながら、二人組の男性が走り去った方を見つめていた。俺とイメルガさんも同様だ。 何かを恐れていたようだが、こんな場所でいったい何を……? 「ああ、ようやく消えてくれたか」 「!?」 いきなり声がして、俺はバッとそこ……今さっきまで二人組の男性が向いていた方を見る。そこには……。 「固まられて迷惑してたんだ、感謝するよ」 「こど、も……?」 ん?なんかデジャヴ……。 そこにいたのは、黒い三角帽を被って黒いマントに身を包んだ、ナイフを持った少女。三角帽のサイズが合ってないのか、右目が隠れてしまっている。 暗い茶髪が肩まで真っ直ぐ伸びていて、茶色の右目は俺達を真っ直ぐ見ていた。 「子供とは失礼な。ボクはれっきとした大人だよ」 少女は不満げにそう言うが、どこからどう見たって子供だ。ブーツを履いているが、身長は俺やアミルよりずっと低い。 「ねえソール。この子、誰かに似てない?」 「あー、言われてみれば」 確かに誰かに似ている気がする。それも、そう遠くない昔に会った誰かに。
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