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私は異端者だと、一族の人達に陰で言われているのはよく耳に入った。いつの間にか家族とも引き離され、離れ座敷に住まわされた。
それでも私は、剣術と魔法の腕を磨いた。私がそうしたかったから。
離れ座敷から出て、一族の長と話したのは、ちょうど私が十八になった時……つまりは、独り立ちができる歳になった時だ。
「――よ。我が――の一族による審議の結果、お前は我が一族から追放することになった」
実際、予想してなかったと言えば嘘になる。むしろ今まで私を生き残した理由が分からないくらいだから。
「……せめてもの情けだ。何か必要な物はあるか?」
「では、食べ物を頂けませんか?」
族長は、一瞬目を見開いて、すぐにお付きの者に指示を出した。
私に、一週間は生き延びられるであろう保存食が手渡された。それをもらった私は、すぐさま一族の村から出る。
村から出る時、私が最後に会ったのは、私を追って村の端まで来た族長……いや、父だった。
「すまない。――、本当に……すまない……!」
蚊の鳴くような、小さな声だった。私はそれに答えもせず、一目散に村から離れる。
その日から、私は名前を捨てた。
人気のない山道。時折飛び出す獣を剣で突き、食料に変える。
延々と、私は歩き続けた。
村から離れて、十日ほど日が経った。
一族の村は、山頂付近に構えられていた。だから人里に降りるにも苦労する。
歩いては、休んで。また歩いては、野宿をして。心も体も疲弊していたが、不思議と人里へ降りる気力だけは強かった。
だから、だろうか。だからこそ、山賊や大型の獣と対峙しても私はそれらに勝つことができたのだろうか。
ようやく人里……大きな街に降りれたと思えば、今度はお金がないから泊まるところも食べる物もない。
そんな私を助けてくれたのは、一人の青年だった。自宅に招いてくれて、食事と一時の休息をくれた。
彼はかつて、私のように一人で行き倒れたことがあるのだとか。だから私を助けてくれたのだとか。
彼は、しばらく自宅で過ごせばいいと言ってくれた。私は、彼の好意に甘えることにした。
彼は私に寝床をくれる。私はそのお礼にと、近くの獣を狩って彼に渡した。
彼の家に住んで一年が経とうとしている頃。私はすっかり街にも馴染み、獣を狩り続けていたからか、狩人として街の一員となっていた。
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