脱出

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「うっ!!」 部隊の誰かが撃った5.45ミリ弾が右足を掠めた。 その瞬間に右足から力が抜け、走っていた勢いそのままに前に転がる。 5メートル程転がったところで止まった。 「う、ううう……」 転がった衝撃で体の色んな場所を打ったようだ。 全身が痛い。 「い、いやああっ!!」 その瞬間、背が高く筋肉質の男に羽交い絞めにされる。 『対象を確保した!』 「や、やめて!離して!」 振り払おうともがくが、所詮は13歳の少女の力。 軍人の力には到底及ばない。 『よくやった!だが油断するな!能力を使われる前に装置を……ぐ、ぐわああっ!!』 駆け寄ってきた隊員が皆、頭を押さえてうずくまる。 『ぐ、ぐおお……』 私を羽交い絞めにしていた隊員も頭を押さえてうずくまる。 『き、貴様、使いやがったな……』 「………」 その隙を見て、再びゆっくりと歩きだす。 本当なら全力疾走で逃げ出したいところだが、右足は力が入らない、体中痛い、更に『能力』の反動で吐き気がする。 満身創痍だ。 だが、足を止めるわけにはいかない。 もう、あんな白色の壁に囲まれた研究所には戻りたくない。 折角空の下に出たんだ。 もうあんな生活は……嫌だ。 ━━━━━━━━━━
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